【獣医師監修】
愛犬連れ旅行で気をつけたい寒さ対策

〇 シングルコートの犬種

犬は体温を調節する下毛（アンダーコート）と皮膚を守るための上毛（オーバーコート）の２層の被毛からなる「ダブルコート」の犬種と、１層の上毛のみ持つ「シングルコート」の犬種がいます。その中でも「シングルコート」の犬種は寒さを感じやすいとされています。
（例）トイプードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、パピヨンなど

〇 小型犬・短毛の犬種

小型の犬種は体が小さいため熱が外に逃げやすく、体脂肪や筋肉量が少ないことからも寒さの影響を受けやすいです。また、毛の量が短い・薄い犬種も体温を保つのが苦手なため、寒さの影響を受けやすくなります。
（例）チワワ、トイプードル、イタリアングレーハウンド、ミニチュアピンシャー、パグなど

〇 暑い地域原産の犬種

温暖な地域原産の犬種は暑さには強い一方で、寒さに弱い傾向があります。
（例）ジャックラッセルテリア（イギリス原産）、イタリアングレーハウンド（イタリア原産）、チワワ（メキシコ原産）、ミニチュアピンシャー（ドイツ原産）、ダックスフンド（ドイツ原産）、バセンジー（コンゴ原産）など

〇 子犬・シニア犬・病気の犬は特に注意

子犬・高齢犬・持病のある犬は寒さに敏感のため、特に配慮が必要です。元々体温調節機能や免疫力が低く、ちょっとした気温差でも体調を崩しやすくなります。シニア犬は持病の悪化の他、関節が冷えて動きにくくなることもありますし、子犬は急激な寒暖差に弱く下痢を起こすケースもあります。旅行前には必ず獣医師に相談し、防寒グッズや必要な常備薬などを事前に準備しましょう。

〇 体を丸めている・震えている

寒いと感じたとき、犬は体を丸め体温の放出を防ぎます。小刻みな震えも寒さを感じたときの代表的なサインです。これらは短時間であれば体温維持のための自然な反応ですが、長時間続く場合は注意が必要です。不安やストレス・体調が悪い場合も体を丸めて震えることがあるため、寒さだけでなく体調にも気を配る必要があります。

〇 鼻先や足先などが冷たい

外気温が寒くなると、体内の体温を保つために鼻先や足先など末端の血行が制限され冷えやすくなります。長時間冷えていたり、震えや体を縮こめるなど、他のサインも見られる場合は寒さによる体のトラブルが生じている可能性があるため、注意が必要です。

〇 暖房の前から離れない・布団にこもる

犬が暖房機器の前に居座ったり、布団の中にもぐり込んで出てこなかったりするのも、寒さを感じているサインです。犬は本能的に自ら暖かい場所を探して移動する性質があります。そんなときは暖かくして、過度な寒暖差が生じないよう調整してあげましょう。

〇 散歩を嫌がる・水を飲まない

散歩を嫌がったり、水をあまり飲まない行動も、寒さが原因の場合があります。そのため散歩は日中の暖かい時間帯を選び、水はぬるま湯にして飲みやすくするなど、体が冷えないような工夫が必要です。旅行中は慣れない場所や気候の変化によって、愛犬が普段より敏感に反応しやすくなります。

〇 移動中の寒さ対策

移動中は、愛犬の体温低下を防ぐことが第一です。特に車内では外気温の影響で冷えやすいため、ペット用毛布や断熱性のあるキャリーバッグを使うのが有効です。また、停車中はエンジンを切ることが多いため、保温グッズで温度を維持できるように心がけます。また、ドライブ中も直射日光や風の入り方には注意が必要です。

〇 宿泊中の寒さ対策

宿泊時は、犬の寝床環境を整えることが重要です。寒い部屋や床が冷えていると、夜間に体調を崩すことがあります。例えば犬用ベッドの下に断熱マットを敷いたり、寝具に電気毛布や湯たんぽを活用することで、寝床を暖かくできます。部屋の室温は20〜23℃程度に保ち、湿度は40〜60%を目安に調節しましょう。また、寝ている間にヒーターの熱が偏らないように配置する工夫も大事です。

〇 外出・散歩中の注意点

冬の外出や散歩は、地面の冷たさや風の強さが大きな負担になります。道路が凍結していると、肉球の凍傷や滑って怪我をするリスクも。外出時は防寒ウェアやドッグブーツの着用のほか、外に出る時間帯も工夫するのが大切です。事前に気温や天気を調べ、日中の暖かい時間帯に外出することで、寒暖差の影響を抑えられます。散歩後はぬるま湯での足洗いと保湿ケアも忘れずに行いましょう。

〇 ラフォーレ箱根強羅 湯の棲

全8室のドッグルームに温泉露天風呂を完備。うち本館の4室には愛犬専用の洗い桶とシャワーを備え、愛犬も一緒に温泉で温まることができます。

〇 伊豆マリオットホテル修善寺

ドッグフレンドリールームのすぐ隣に宿泊者専用ドッグランがあるため、愛犬を気軽に走らせることができ、身体が冷えたらすぐにお部屋に戻ってお休みいただけます。

〇 ホテルラフォーレ那須

敷地内にドッグランがあるほか、75.5㎡と広々とした客室のため、寒い冬はお部屋の中でものびのびお過ごしいただけます。

執筆者プロフィール

原田瑠菜
獣医師、ライター

大学卒業後、畜産系組合に入職し、乳牛の診療に携わる。その後、動物病院で犬や猫を中心とした診療業務に従事。現在は動物病院で働く傍ら、ライターとしてペット系記事を中心に執筆や監修を行っている。